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フィールド録音エンジニア 土方氏によるサラウンド録音レポート




土方裕雄氏




●フィールド録音におけるSanken Microphone

フィールドでの収録で、様々なマイクロホンを試してきた私にとって、三研マイクロホンがもたらしてくれた恩恵は、計り知れないものがあります。ポータブル・ステレオマイクCMS-7 は、購入してから20年近く経ちますが、未だに素晴らしい音を提供してくれます。

最近行っているサラウンド・フィールド録音では、CUW-180のサラウンド・セットが欠かせません。

このマイクロホンは定位,感度が抜群に良くて,前方向のマイクロホンは後ろのかぶりが少なく,後ろのマイクロホンは前方向のかぶりが少ない,とても便利でテレビ取材向きのシステムです。

東アフリカでは数千人の人々が集まるマサイのセレモニーに遭遇しました。彼らが大合唱する輪の中に入り、カメラの動きにあわせてマイクロホンを動かすと、周りの音環境がそのまま回転して行き、とても気持ち良かったです。以前、このサラウンド・セットの周りを自動車で回ってみたのですが、360度のつながりがとても良く、自然でした。

これまでに、様々な自然環境音をテスト録音したところ、スピーカーからの再生音がとても立体的に感じられました。これほどリアリティのあるサラウンド音響が得られるCUW-180は、とても貴重な存在です。

海岸の波、小川のせせらぎ、滝、高原の野鳥、蝉の声、夜の虫の音、花火など、どれを録っても素晴らしい存在感です。特に落差20mの滝の音を15m離れた位置から録音したものを目を閉じて聴いてみると、まさに15m目の前に滝があるかのような錯覚に陥ります。

私が携わっているテレビのENGスタイルの取材では機動力が大切です。一つの籠の中に収まるCUW-180とCS-1のセットは、ブーム棒の先に付けて普段のショットガンマイクロホン1本での取材と変わりなく撮影と録音を両立することが出来ます。カメラマンにストレスを与えることなく縦横無尽に動き回れる録音スタイルはテレビ番組や様々な映像・音響制作に創造的な可能性をもたらしてくれることでしょう。

さらに最近はCO-100Kもフィールドへ持ち出してテスト録音しています。この極めて繊細なマイクロホンを通して収録された音源は、スピーカーを密に振動させて複雑な自然環境音を心地良い音色で再現してくれます。

常に魅力的なマイクロホンを提供してくれる三研マイクロホン。次はどんなものを用意してくれているのか、期待に胸を膨らませています。

●土方裕雄氏のプロフィール

フィールド録音エンジニア

作品歴
「わくわく動物ランド」 「生きもの地球紀行」 「世界遺産」 「大型展示映像・大地を駆ける生命」 「世界ふれあい街歩き」他