マイケル ビショップ
Recording Engineer & Producer of
Five Four Productions Ltd.
いくつかの有名なシンフォニーオーケストラとオペラの録音のメインマイクとして三研CO-100Kを使用しました。すべてCDとSACDのためDSD(ダイレクトストリームデジタル)方式でサラウンド録音を行いました。今回、三研マイクを使用したことにより私が長年オーケストラ録音で用いてきた方法に大きな変化をもたらしました。次回のジャズの録音にもCO-100Kを使用することを楽しみにしています。
このマイクを使おうと私を駆り立てたのはCO-100Kが持つ正確でしかも音楽的、また広さの中の定位とフルオーケストラの息遣いをも捉えることが出来る能力でした。CO-100Kの並外れた周波数特性と細密なる過渡特性によりオーケトラ録音のサウンドが一気により「本物」に近づきました。
この広帯域の周波数特性が高域のきつさを強調することを予想する方もいるでしょう。
しかしそれとは反対にCO-100Kは非常に「音楽的」で何にでも合い自然であることを私は発見し、セッティングや録音対象の範囲に自由度を与えてくれました。先日私は以前から使用していた私の「オーケストラスタンダード」マイクとCO-100Kを1本ずつ並べてセットし5.6MHz DSDで録音しA-Bテストを試みました。同じマイクプリを使用し、チャンネルのゲインも正確にあわせSennheiser特製のノイズソースを使用しました。比較するマイクの指向性ももちろんオムニです。
この比較試聴で私が感じたことはふたつのマイクがともにファーストクラスのものであるという共通性があったということです。両方ともオーケストラの音を見事に捉えていました。違った点はと言うとCO-100Kは誇張のない簡明で正確なトランジェント(過渡特性)をあらわし、オーケストラの深さと広さを表現していたということです。
また、低域も濁りがなくしっかりとした倍音構成を示していました。これがこのMONOで行った比較録音の結果です。両方のマイクともハイエンドが高いf特性のものでしたがCO-100Kからはシンプルに「広い帯域」という印象を受け、サウンドからきれいなピクチャーを感じ取ることが出来ました。CO-100Kをオーケストラの前、いくらか距離をとった場所、またかなり離れた点にセットした結果でも高域の誇張は感じられませんでした。
CO-100Kの周波数特性グラフを見て思ったことは、音源にきわめて近くセットしたとき高域が目立つと感じる人がいるかもしれないということでした。しかしそれは非常に高い周波数帯域であり、耳障りになる帯域ではありません。わたしはこの高帯域の特性が距離をもったところにセッティングしたとき高域の減衰をうまく補償しているのではないかと想像します。
わたくしは自分の仕事にある変革を与えた録音ツールをプロデュースしたSANKENの全ての方々に賛辞をお送りしたい。わたしはCO-100Kの双指向性マイクを熱望します。なぜならわたしのサラウンドレコーディングでは双指向性マイクも何本か使用するからです。今のところ双指向は他社のものを使うしか方法はありませんが、CO-100Kと同じキャラクターのものがあれば理想的です。
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